血管内超音波 IVUS 光干渉断層法 OCT

血管内超音波 IVUS

 血管内超音波検査(IVUS)は超音波を用いて血管内部の断層画像をリアルタイムで見る事 が出来る検査です。一般的には経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行する際に行われ、手技をより安全に確実におこなうためには欠かせない検査となっています。検査を通じて得られる血管内の情報は病態の把握や治療方針の決定に重要な役割を果たしています。具体的には径1mm弱の超音波送受信装置が先端に搭載された細いカテーテルを血管内に挿入することで血管内の情報が得られるというもので、手技に要する時間は短時間です。当院では10年以上前からPCIを施行した症例のほとんどに血管内超音波検査を施行しており、より確実で安全なPCIを行っています。

図1. 代表的なIVUS画像


 図2に示しているのは実際にステントが血管に入った超音波像です。一番内側の黒い部分が血管内腔、その縁に沿って白く光っているのがステントです。血管内超音波を使用して、血管を先端から根元まで連続的に観察することにより、血管の径がどれぐらいか、またそれがどの程度狭くなっているか、ステントをどこからどこまで入れる必要があるかなどがわかります。ステントがしっかり拡がって血管の壁に密着していないと、せっかく入れたステントの中が再び狭くなったり、詰まったりしてしまう原因になります。血管内超音波を使用してステントの状態を観察することにより、そうした事態を防ぐことができます。

図2. ステント留置後の画像



光干渉断層法 OCT

 OCT(Optical Coherence Tomography:光干渉断層法)は、血管内超音波検査と同様に経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行する際に行う検査の1つで冠動脈内の様子を詳細に評価出来る検査です。OCTはもともと眼科の先生方が網膜の状態を評価するために使用していましたが、近年、冠動脈内の評価にも盛んに使用されています。OCTの特徴は血管内超音波検査(IVUS)と比べて解像度が約10-15μmとIVUSの約10倍の高い分解能を有し、IVUSの弱点である石灰化や血栓などの評価に優れています。今後、心筋梗塞をはじめとする急性冠症候群という病気のメカニズムの解明や薬剤溶出性ステント治療後の評価に役立つ事が期待されています。当院でも多くの症例でOCTを使用しています。手技は、IVUSと同様、約1mm弱の細いカテーテルを挿入して行います。検査に要する時間は短時間です。

図3. 代表的なOCT画像